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ベリッシモ・フランチェスコ著『ビジネスパーソンのための誘う技術』に学ぶ「上手な仕事の誘い方」

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僕は(編集者のくせに)口下手なので、人に何かを頼んだり、企画を持ちかけたりするのが苦手です。そこで、最近、ダイヤモンド社さんから出版された、『ビジネスパーソンのための誘う技術』(ベリッシモ・フランチェスコ著)を、仕事に少しでも活かせないかと読んでみました。

 

今回は、その読書感想文です。

 

※同じ編集者として「内容、全掲載」なんてものは避けたいので、一部だけ、自分的に役立った箇所をエッセンスとして抽出してみました

 

 

1.「誘う」とは、「お互いのメリット」を実現するための手段

誘うときの、そもそもの大前提として、

「お互いにプラスにならないなら、誘ってはいけない」

ということを意識しなくてはいけないそうです。

 

なぜなら、そういう意識がないと、相手を「利用する」だけになってしまうから。これは、とっても失礼です。

 

メリットのある「未来」を想像してもらうことが、大切なんですね。

 

では、「メリットのある未来」とは何でしょうか?

これは、僕がこの本を読んで考えてみたことです。なんとなくですが、以下の5つが思い浮かびました。

 

①楽しい

②お金が手に入る(普段よりも高時給)

③勉強になる

④箔がつく

⑤人脈が広がる

 

ベリッシモさん的には、「誘いに乗るといいことがある!」と思ってもらえることが大切だということでした。

 

2.その上で、どう誘えば「成功する」か?

相手に「素敵な未来」を想像してもらえるようにすることは分かった。じゃあ、どう誘えば「素敵な未来」をちゃんとイメージしてもらえるのでしょうか?

 

①誘う目的をはっきりさせる

ベリッシモさんによると、「人は、きちんと理由がある誘いの方がOKしやすい」のだそうです。そして、なんとなく誘っては相手に失礼だし、絶対にうまくいかないとも言います。

 

これは僕の想像なのですが、具体的な内容を示すことで、自分にできる/できないの判断がしやすい(=検討しやすい)のがいいんじゃないかな、と思います。期待通りの結果が出なくて相手を困らせたくもないし、それにその失敗は自分の経歴を傷つけ、相手から「アイツは駄目だ」と烙印を押されかねませんからね。

また、別の角度からいうと「言い訳」を提示する、という効果もあるのではないかと思います。どこかで「女性を口説くときは、罪悪感を感じさせない「言い訳」を用意せよ」と聞いたこともありますし。

 

②誘うときは「おバカ」になれ

ベリッシモさんによると、人は誰しも次の2つの性質を持ちあわせているのだそうです。

 

・ちょっとだけ上に立ちたい

・自分の出来る範囲で何かを教えたり与えたりすること(=助けること)に、喜びを感じる

 

確かに、人助けというものは、「自分の能力が活かされる」「相手から求められる」という、「承認」不足の今の時代には、最高の欲求充足チャンスです。つまり、必要とされること自体には悪い気はしないのですね。なぜなら、自分の存在が認められ、「自分は人に請われる“替えの効かない人間”なんだと思えるから」。

 

しかし、その時、上から目線で誘ってはいけない、とベリッシモさんは警告します。確かに、上から目線で誘うと、失礼ですし、「オンリーワン」というよりは替えの効く「歯車」的に扱われている感じがします。

 

だからこそ、誘うときには、自分は「ピエロ」に徹しなくてはいけないそうです。ちょっとおバカになって、「自分は困っている。あなたの助けが必要だ」と相手を持ち上げつつお願いできれば、相手も悪い気はしない、というわけですね。

 

加えて、「これは◎◎さんにしかできないことだ」と、相手の存在のオンリーワン加減を称えられれば、更に相手もノッてくれるはずです。

 

3.誘い上手が「陰でやっている」こと

最後に、本筋とは外れますが、本を読んでいて、ベリッシモさんのような「誘い上手」は、陰でこんなことはしていたのかと驚いたことをメモ代わりにのこしておきます。

 

①相手のことを「知る」

「良いお誘い」とは「お互いにメリットがあること」だとベリッシモさんは語りますが、その実現のために一番大事なのは「相手を知る」ことです。

相手のメリットを上手に提案できるようになる意味でも、また、相手とのお近づきを促進する糸口を手に入れるためにも、

相手が

「今何に興味があって」

「どういうものが好きで」

「何が嫌い」

なのかをはっきりさせておくといいそうです。

 

②「相手に求められた」キャラを出す

イタリアには「肉でもない 魚でもない」という有名なことわざがあるそうです。意味は、どちらにもなれない「中途半端な人」。そして、そういう半端な人は、結局誰からも選ばれないとベリッシモさんは語ります。

 

ただし、どんなキャラでもOKかというと、そうではありません。

相手に期待されているキャラ」を演じられることが大切だそうです。実際、ベリッシモさんも当初は日本人のマナーをきっちり守る「イタリア人らしからぬ」礼儀正しい人だったそうです。しかし、それでは仕事は得られず、「世間から期待されている“チャラい”イタリア人」の側面を出すことで、ようやく活躍することができたそうです。

 

また、そういったチャラさを確立したところで、「実はしっかりした一面もある」とギャップを提示できれば、さらにキャラクターは魅力的に映るそうです。

 

自分に求められている役割は何かを知る意味でも、①の「相手を知る」ことは大事になってきますね。

 

③日々の「プレゼント」で関係を強化する

最近、日本では「お歳暮」や「お中元」、「年賀状」などの昔からの風習が面倒臭がられています。しかし、ベリッシモさんはこういう行事もチャンスに変えます。

なぜなら、季節の贈り物は自分を相手の中に印象付ける上で大切ですし、「してあげた」ことは後々役に立ってくるからだそうです。

例えば、ベリッシモさんはこういったプレゼントを次の企画を実現する際に活かしているのだそうです。

 

その流れは、こう。

 

プレゼント(何かしてあげる)

→合っていただいた/話していただいた御礼のメールを送る時に、補助的に企画提案もする

ex.先日はお世話になりました。先日の◎◎はお口にあいましたでしょうか?使い心地はいかがでしょうか?…ちなみに、最近こういう企画を考えているのですが、いかがでしょうか?

→「してあげたこと」を本題に持ってくることで、相手は何かしらの返事をせざるを得ない

 

そして、何か返してあげなくちゃと思うのです。

巧みです。

 

④雑談力を上げるネタを仕込んでおく

誘う誘わない以前に、相手とのファーストコンタクトができなければ、つまり「話しかける」ことができなければ話になりません。ベリッシモさんにも鉄板ネタはあるみたいです。

中でも印象的だったのは「出身地」でネタをふくらませておけるようにすること。

 

例えば香川県出身者にはこんな会話ができそうです。

 

香川=うどん→うどん美味しいですよね。今度、うどんを食べに香川に行きたいんですけど、他にはなにかおすすめの観光地ってありますか?

 

誰しも、出身地はありますし、それなりの愛着を持っているものです。それに、相手のほうが確実に詳しいので「相手に教えを請う立場」になりやすく、気持よくはなしをしてもらいやすい!

 

そのためにも、会話の糸口になる「地域ネタ」は仕入れておいて損はないそうです。

 

おわりに

もろもろの方法論をメモしてきましたが、「じゃあ、具体的にどうすればいいか?」というところは、本を買ってお確かめください。

ベリッシモさんが相手のどこを観察しているか、どういった部分を褒めているのか、どういったプレゼントを渡しているのか、など「へぇ~」と思うネタがたくさんありますよ。

 

ビジネスパーソンの誘う技術

ビジネスパーソンの誘う技術

 

 

今回の「新しい疑問」

Q.「本を書く・本を出す」ことのメリットって何だろうか?

Q.承認欲求を満たされている人(求められすぎて忙しい人)相手にはどう誘えばいいのか?

なぜ人は「本」を買うのか?

今日、仕事をしていてふと考えた。

 

なぜ、人は「本」を買うのだろうか?

 

正直、個々の「情報」なら、ネットで探せば大抵のものは調べられるはずだ。

だけど、人はわざわざお金を出して「本」を買う。

 

紙の感触が好きな人もいるだろうし、

本棚に本を飾るのが好きな人もいるだろう。

もしかすると、本という「文化」を守りたいという殊勝な人もいるかもしれない。

 

だけど、普通、人っていうのは「経済性」で動く。

金銭的にせよ、身体的にせよ、時間的にせよ、精神的にせよ、同じ結果が得られるのなら、間違いなく「低コスト=経済的」な選択肢を選ぶ。

 

だから、上に挙げたような、「本」を買うことで満足感や喜びを得られる人はともかくとして、普通の人は本を「情報」が掲載された「媒体(=それだけでは価値の無いもの)」としか思ってないだろうし、それなら、ほとんどの情報がネットで収集できる現在、わざわざ高コストの本を買う動機はなんなのだろうか?

 

こうやって考えると、本を買う人は、金銭なり、読む時間なり、買いに行く際の体力なり、本という媒体から情報を得るためにかかってくるコストより、本がある事の方が、もっと言えば、「本を買わない状態」より、「本を買っている状態」の方がコスパが良いと考えるから本を買うんだろうと想像できる。

 

ポイントは、本に掲載されている「情報」だけを、「本を買うこと」の「価値」とは捉えてなくて、そういった「情報」が掲載された本が「手元にある状態」までを考えて、「価値」を見出しているということだ。

 

そう考えると、わざわざ本を買うケースっていうのは、次の2つの場合に絞れるんじゃないかと思う。

※前提として、その情報を「知らない状態」よりも「知っている状態」の方が(金銭、身体、精神などの面で)経済的だとした場合

 

1:そもそも他の手段ではその「情報」自体が得られない

これは言わずもがななケース。書き下ろしの小説とか、「初めて口を開いた」的なインタビューや、他では得られない解釈などはこちらに当てはまる。

ただ、小説やインタビューみたいに「他で:得られる/得られない」が◎か×かで白黒つけられない「解釈」は、よっぽど◎に近づけるよう「見せ」なければ、「他では得られない」と判断されず、とどのつまり、事実は◎でも×と見なされてしまうことがあるので難しい。

 

2:他の手段でもその「情報」は得られるけど、その「本」から得るほうが経済的

これは、情報自体は無料でネットに転がっているけど、その「伝え方」に差があるために、わざわざお金を払って「本」を購入するケース。

必要な情報がコンパクトにまとまっていて、尚且つ一瞬で情報を取り出せる「手元」という場所に置いておける「本」の方が、ノイズまみれのネットから逐一探し出すよりも「経済的」である場合はこのケースに当てはまるだろう。

また、「情報」自体は他の手段でも手に入れられるけど、伝え方が下手で、その「内容」を「理解」できないから、「理解」できる「伝え方」の「本」を購入するというケースも考えられる(Wikipediaの項目では難しくて理解できず、そのために勉強する時間やお金といったコストを考えると、お金を出して素人でも分かると評判の解説本を買ったほうが「経済的」な場合、など)

 

逆に、「慢性的な腰痛がひどいので、自分で最低限の整体の知識を得て、改善したいと常々感じている」というような、ニーズが顕在化していて、それが常に頭の片隅にあって、そのニーズに応える『素人でもお家で腰痛を改善できる整体マニュアル』みたいなドンピシャな本が売り出されていて、たまたま通りかかった本屋でその本の存在を認識していたとしても……

もし、その本を手に入れるためには「1,200円」というコストがかかり、それと同じようなものがネットでは「無料」で手に入れることができ、しかもその人は使う度にそのページを呼び出すことを苦に思わない人であれば、いくら顕在的なニーズにドンピシャな本を作ったところで、「売れない」ということだ。

※ただし、他の選択肢の存在を認知していなければ、それは「無い」ということと違わない。ネットに慣れていない年齢層の高い人ほど、たくさん本を買うのはそのためだろう

 

だから、本を売りたいなら、他の手段では絶対に満たされないニーズをつくか、ニーズにだけ着目するのではなくて、他の選択肢に「経済的」な面で(総合的に見た時に)勝てるようにしなくちゃいけない、ということだろう。

 

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※雑記

小説みたいな創作物以外に、ネットには無い情報って何があるだろうか?

どういう場合に「ネット」よりも「手元」の方が利便性が高いんだろうか?

どういった情報がネットの「伝え方」では得るのが難しいのだろうか?

「知らない」より「知っている」状態のほうが経済的ってどんな場合だろうか?